流行りの言い回し【半蔵門ビジネス雑談】20190909
取引先とのちょっとしたトラブルのメールでのやり取り。
こちらの指摘に対して、相手方からの返信に、
「それはまったくあたらない」
とあった。
どこかで聞いた?と考えてみると、菅官房長官が記者会見で使っている。某国からの非難に対して、
「それはまったくあたらない。これは規制ではなく管理強化だ」
とか、ね。
違いますという明確な否定ではないが、あたらないといっているのは同じこと。なぜかちょっとカチンとくるのはなぜなんだろう。
思うに官房長官は英語化されて発信されるであろうことを念頭に、違う!間違っているという日本語表現を使うと、Not correctとか、Wrongとか、different thoughtとか、拒絶するニュアンスになっていってしまうので、あたらない=該当しない=do not apply(拒絶はしないけど、こちらの基準と違うので合わせてくれれば問題ないよ)という表現を選んでいると推測してみた。
政治の世界などで、TVでセンセーショナルに取り上げると、なんども放映されることもあって、流行語ぽくなり、あちこちで使われるようになる。
有名なロッキード事件の記憶では、
「記憶にございません」
がある。国会招致されての証人尋問なのに、記憶にないで済むんだとみんなが思った。都合の悪いことは回答したくない。そのためのテクニックとして、拒否でも嘘でもなく、記憶にございませんと。記憶だから誰も検証できない。これを編み出したのは、本人だろうか。弁護士さんだろうか。
最近見かけるのは、
「選択肢として排除しない」
これは、やるともいっていないが、やめるとはいっていない。つまり何も回答していないと同じことなのだが、
「わかりません」
と素直に答えると、何も考えていないとわかってしまうが、この言い方だと、情勢を見てどちらにも進めるように答えを留保して、返答としての回答はしていて、しかも、それを報道する場合にも、もったいつけて報道され、さらに謎が謎を呼び、記事としてはいくらでも長引かせることができる便利な言い回し。
立候補は?とか、総裁選はどうしますか?などと聞かれたときによく聞く。
流行語大賞など、政治観の発言ですら、流行にしてしまうのは、「それはあたらない」んじゃないかと思うが、「選択肢としては排除しない」
と、書いたことについては、「記憶にございません」