まだあるTV会議ハードル【半蔵門ビジネス雑談】20191101(はてな記事 1683)
TV会議はもうかなり一般的になっているが、一部組織にはTV会議の実施に前向きでない、否定的ですらあるということを耳にする。
曰く。
導入するならPCは用意して送れ、
何か問題やクレームあったときも責任は負わない、
PCが壊れたらどうするんだ、
通信つながらなかったらどうするんだ、
もはや駄々コネ?
いやいや。そんな失礼なことを言ってはいけない。この反応は導入初期によくある。
最初はとにかく会議で使用したりデモをしたりして使えることを体感してもらって理解を深めていくしかないと考える。しかしそれをやっても前述の駄々コネの場合はどういうことだろう。
前提として、TV会議はもし導入の障害となっている技術的コスト的問題が解決したなら有用でコストメリットがあるという共通理解があるとしよう。
つまり、TV会議を使わない場合、どちらかがどちらかへ出向くか、中間地点に双方が集まるかということになるが、必要な人数分の、その移動コスト宿泊コスト時間コストとTV会議の設備と運用、エンジニアリングコストを中長期的に比較すれば、TV会議のほうがいいという共通認識、理解があるとする。
前述の抵抗は、
(1)単純にPC機器への理解度や習熟度、コストの問題
(2)それとも新しい手段への心理的なハードル
(3)あるいはその実務には致命的に向かない
などの原因が考えられる。もう少し詳細に言うなら、
(1)単純にPC機器への理解度や習熟度、コストの問題、
・スキル、習熟度の問題
組織としてPCやITテクノロジーへの対応スキルがない、かつ、身につける余裕もそのつもりもない、あるいはそのつもりはあるが経費や人件費的に対応できない
・導入コスト、維持コストの問題
PCやネットワークの導入コストが確保できない、維持費が確保できない
(2)それとも新しい手段への心理的なハードル
・未知のことものへの心理的抵抗
やったことがないのでまずはやらないようにする、そうすれば新たな問題も起きないし、今までのやり方で不便を少し我慢すればどうにかなる。顧客も同じように我慢してもらう。
・新しいことをやると新たなクレームが発生するからやらないほうがいい。
(3)あるいはその実務には致命的に向かないということなのか。
・その業務の特性により向かない。声を生で聞かないとダメ、匂いがないとダメ?気が感じられないとダメ?そんなのがまだあるとは信じがたいが。。。
・そのTV会議に出ている人が本人かどうかを厳しく確認する必要がある場合など
本音としては、これだけIT機器が一般化し、普及し、多くの人がスマホを使いこなせる時代になっているので、スキル、習熟度、機器のコストの課題は、TV会議のためだけでなく各組織の中で解決していってもらうべきなのだが、
そうした基本的なコスト負担や投資ができないならば、TV会議のできる会議室のレンタルは一つの解だ。
さらに、会議の都度、個別に単独で動くのはコスト、人材的に難しいのであれば、そうした提携(使えるTV会議室を各地にもつような提携)をADR業界で推進することは現実的な策にならないだろうか。
また、業界団体が各県の会員に働きかけるなどして、TV会議のできる機関をネットワーク化していくことも考えられる。
TV会議のできる機関が利用者を呼び込むことができるだろうし、それが定着できればTV会議は当たり前の状態になっていくだろう。
一方、本当に組織にTV会議の導入を期待できないのなら、当事者個人と直接オンライン調停を行うという案もあるが、
結局相手当事者のPCに対するスキル、理解に依存してしまうので不安定となり、それに左右されることになってしまう。
普通に前向きに考えれば、仮に個人でオンライン調停に応じているのであれば、スカイプなどのTV会議はできるだろうし、オンライン調停のほうがよいと判断しているのだろうから、それは成立すると考えられる。
でも、そのスキルや理解度が、冒頭の駄々コネ組織のレベルのようであれば、同じように、PCを用意しろとなるかもしれず、その場合は費用対効果の検討となる。また実施後も調停結果に不満足な場合、「実はよく聞こえなかった」と後クレームしたり、調停時に激昂し破壊はないにせよ通信切断などの状態はあるのかもしれない。
本人確認の件は、TV会議に限らずODR全体でも問題になりそうだが、現状の確認が免許証などの確認であれば、それをある一定の品質データで送ってもらって確認する方法だろうか。土地取引の詐欺ではパスポートの偽造があったが、それは面前でも見破れなかったのだからTV会議化の障壁にすべきではなかろう。
この課題は今後の司法のIT化やADRのIT化でもでてくるだろうから、引き続き検討は必要だろう。
ところで、当社を設立した際に、ODRの中心はTV会議であり、それを設備として通信品質や音響などを確保するために、ODR用の部屋Roomが必要になり、それらをネットワーキングする必要があるだろうと想定して、ODR Room Networkとしたのだが、まさかここまで来てそんなニーズに巡り合おうとは思っても見なかった。
(はてな記事 1683)