ふるさと納税こうあるべきー2018実績(総務省発表)より【半蔵門ビジネス雑談】【ウォッチテーマ】
20191112
ふるさと納税でも赤字
日経産業新聞 2019年10月3日
ふるさと納税を増やす企画はないかとふるさとのために検討しているが、工夫して多くの寄付を集めた市町村にはその手法が問題だと指定制度が適用されなくなり、総務省から、受け入れ寄付額に対しての比率が要請された。これによれば、
しかも要請を守れず
総務省要請 (実績)
1)全体の経費率 50% (55%)
2)返礼品の調達比率 30% (35.4%)
しかし、実績値では、右側の()内となり、いずれも超過。
調査対象自治体数1816のうち、
629団体(35%) 経費率 50%超過
454団体(25%) 調達比率 30%超過
両方オーバー
329団体(18%)
なんとかしようとしているのに
こんなに要請を守っていない(ただこれは、規則やぶりというより、なんとかしようと努力している)にも関わらず、翌年の住民税控除額を集計すると、
604団体(34%)が、実質赤字。
これに75%の補填があっても、373団体(21%)はやはり赤字。
寄付者の居住地
また、寄付をする人の居住地では、その分の税収が減ることになる。都会が大きく、
東京 347億円
大阪府 21億円
神奈川県 20億円
市区町村では川崎市 54億円(いずれも交付税加味後)
魅力ある返礼品次第
地方としては、地方の魅力が薄れ住民が都会へ、その結果税収が減り、、ということを賄うためのふるさと納税なのだから、寄付してもらえるような魅力ある返礼品を揃え、タイムリーに寄付者の目に届くようにすることが重要だ。これは、王道。
一方、考慮すべきおおよその関係費用としては、(これはある参考事例)
- 返礼品 30%
- 決済会社 決済手数料 1%〜3.5%
- ポータルサイトの使用料 寄付金額の5%。
- 送料 約4.8%
- 運営依託費 11%
合計経費+返礼品比率 54.3%
総務省要請では、これは50%に抑えるようにということだが、本来は、寄付額を増やして比率を下げるという活動をすべきだ。経費を落とすほうに目を向け過ぎると、広報活動すらできなくなってしまう。本末転倒。
そのほかの見えない費用
このほか、目に見えない費用(というか活動)としては、返礼品の発掘、仕組みに載せるまでの手配調整が重要で、これを市役所などの職員が行うか、これも運営依託費に含んでしまうかという判断も必要。
なるべく地場産業で
ポータルサイト使用料は、集客力のあるポータルサイト経由したほうが、利便性も高くひいては寄付に繋がるということだが、魅力ある返礼品によっては独自サイトによる運営もありうる。
そもそも、市への収入のための制度であるから、運営依託費も地場企業を使うのが正しいはずで、これを外部の組織に委ねるというのは、なんだかもうわけわからないという感想だ。
でないとせっかく集めた寄付をほかの地域に収めることになるだけだ。