半蔵門御散歩雑談/ODR Pickups

株式会社ODR Room Network

このブログは、株式会社ODR Room Networkのお客様へのWeekly reportに掲載されている内容をアーカイブしたものです。但し、一部の記事を除きます。ODRについての状況、国際会議の参加報告、ビジネスよもやま話、台湾たまにロードレーサーの話題など、半蔵門やたまプラーザ付近を歩きながら雑談するように。

カクレカラクリ 森博嗣

カクレカラクリ 森博嗣【読書/映画感想】20200812

 

動き出すのは120年後。どこにあるのか誰も知らない小さな村に隠された天才絡繰り師による謎の仕掛け。

それが今年動き出す?

言い伝えと石碑を頼りに大学生と物理教師が120年前の謎に挑む。

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  • 120年経ってから動く仕掛け

何が難しいって、動くしかけそのものもだが、120年後に動く仕掛けを作れるものだろうかということ。120年数えるカウンタ的な仕掛けをどうするのか、動力はどうするのか?水?風?自然現象がそれほど安定しているのか、例外が起きた時どうするのか、動かなくなる可能性は?それを補うフェイルセーフは?動く仕掛けそのもの以上に時間を超えたそのカラクリが最も難しい。

これは現代でのシステムづくりに通じる。計算すること以上に、その維持管理、保守のための仕掛けが実用のキモだ。そういう意味でエンターテイメントとして以上に、システム屋にとって示唆に富む。

 

  • 薪割り機

物理教師磯貝は、こわれた機械や部品を組み合わせて様々な機械、メカを制作している。教師なので教材としてだ。そして、そのうちの一つ、薪割り機は、薪を燃やして蒸気で機械を動かし薪を割る。自分を動かす薪を自分で割る機械。なんのための機械か。物理教師の磯貝は言う。

「人間もこれと同じようなことをしていないかい?」

割れた薪を、運んで、火に焼べて、火力をチェックし維持する、薪割り機は小さいから全体像がわかるが、仕掛けが大きければ大きいほど、各パートの全体に与える意味は見えにくくなる。今自分が関わっている社会的なことは、全体としてはどういう意味があるのだろう?と考えてみよう。

 

  • 仲良くしない理由と仕掛け(ネタバレ注意)

真知家と山添家は古来より仲が悪い。その後継者の娘と息子もなかよしだが隠れて遊ぶようにしている。両家の使用人同士も極めて仲が悪く、それは両家に忠実だからでもある。しかし、これもカクレカラクリの一部で、両家が仲良くして縁談などが起こらないように仕掛けられたこれもまたカラクリの一つであった。

ロミオとジュリエットの話しかりだが、シェイクスピアも書かなかった、壮大な人間関係の仕掛けは、心静かに読んで味わう。

 

カラクリは好きだな。子供の頃、段ボールを駆使して、ロボットを作ったものだ。胸に回路を覗ける蓋をつけて、あけると腕が動くようにしたくて、そんな仕組みを一生懸命考えた。結局段ボールの強度ではうまく動かず落胆しつつも、また次のなにかを作ろうと頑張ったものだ。