半蔵門御散歩雑談/ODR Pickups

株式会社ODR Room Network

このブログは、株式会社ODR Room Networkのお客様へのWeekly reportに掲載されている内容をアーカイブしたものです。但し、一部の記事を除きます。ODRについての状況、国際会議の参加報告、ビジネスよもやま話、台湾たまにロードレーサーの話題など、半蔵門やたまプラーザ付近を歩きながら雑談するように。

マーケットインをプロダクトアウトで包み込む

マーケットインをプロダクトアウトで包み込む【半蔵門ビジネス雑談】20210813

 

高級店だけでなく普通レベルの店舗すらが閉店し、跡地には100円ショップを始めとするデフレを象徴するショップが開店してはまた消えていく日本。

 

そんな中、高品質なのに安さを誇ってしまった日本の代名詞 ビニール傘の会社が、10,000円のビニール傘を売ろうとしている。「安くすれば売れる」、「いいものを安く」の呪縛にハマって自分の首を絞めてしまうばかりの日本のメーカーが多い中、「いいものを高く」というより「適正価格」で売ろうとしている。いいことじゃん。

 

business.nikkei.com

 

マーケティング部門の駆け出しの頃、外部セミナーでは盛んにマーケットインが唱えられていた。先輩にも叩き込まれた。メーカーの自己満足によるプロダクトアウトで作ったものを売ろうとしても売れないぞ、マーケット=市場=顧客の声を聞いてそれを作っていく、と曲解され、主要な機種だけでなく全機種で動作するように、高いからもっと安くして、と、結局、品質がよくて、選択肢もあって、それらを安く売るという今のデフレスパイラルの始まりだったと今にして思う。

 

記事中にも社長さんの言葉で、

お客様の求めている製品を作る「マーケットイン」には落とし穴があって、お客様の声をそのまま聞いていると、例えば「12色では足りないから、24色に増やそう」という発想になるんです。確かに選択肢は増えるかもしれないけれど、作るときの無駄が多い。

 これはマーケットインではなく、ただ単に、経営者が選択できなかった、というだけです。12色を3色に絞り込むために声を聞くのが本来のマーケットインです。

 

「あったらいいな、あれば買うのに」という顧客の声は、単なる思いつきかもしれない。それに従っているだけでは、顧客の想像は超えないし、他社にも勝てない、価格勝負に陥るだけだ。その製品のことを、サービスのことを、ずっと考えている経営者、技術者、マーケティング担当者が考えて考え抜いて作ったものが、市場を顧客の想像を乗り越えていくこと、もちろん市場の声には耳を傾ける、

 

いわば、マーケットインをプロダクトアウトが包み込んでいく。それでこそ適正な価格で提供できるスパイラルに戻す鍵だと信じる。

 

SONYのウォークマンがみんなの想像を超えていったように。

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