EUのODRは一旦クローズらしい【たまプラビジネス余談放談】20231123
ODR界では、2010年から国連UNCITRALの会合は統一的なODRの共通ルールを作ろうと議論を重ねていたが、最終的に「事前の仲裁合意」についてEUの”消費者保護の規範”と米国をはじめとする”事前合意優先の規範”とが統一合意できずルール化を断念した。
その結果、米国グループはAPECでの共通ルール化へ、欧州はEUでのルール化を進めることになった。EUではすでにODR規則が成立し運営されてきた。ところで、どうやらEUのODRはしばしクローズするらしい。理由としては、ADRまで到達したのは2%、30日以内に相手から返答がない場合自動的に終了となってしまうため、結果として応諾率が低いということが理由だそうだ。利用者からの再利用希望も極めて低いとのこと。なくなるわけではなく仕切り直し?応諾率が高くならないということで見直しを図るとのこと。(11月20日に実施された日本ADR協会主催シンポジウムでのパネルディスカッションより)
英国のECを行なっている知人から情報でもBrexitの影響なのか、「2021年初頭より、英国からはEUのODRプラットフォームは利用できなくなった」そうだ。実際にシステムの選択国リストにも英国は出てこない。知人曰く、”英国が抜けたことにより利用は相当数減ったのではないか”とのこと。それも一因にありそうだが、利用が少なければ見直しとなるだろうし、システムを止めて見直しもしやすいだろう。
ODRは日本では今年から進み始めたところだが、EUでは見直し。周回遅れにならないように注視しておきたいところ。