半蔵門御散歩雑談/ODR Pickups

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このブログは、株式会社ODR Room Networkのお客様へのWeekly reportに掲載されている内容をアーカイブしたものです。但し、一部の記事を除きます。ODRについての状況、国際会議の参加報告、ビジネスよもやま話、台湾たまにロードレーサーの話題など、半蔵門やたまプラーザ付近を歩きながら雑談するように。

殺し屋やってます 著:石持朝海 手段でなくシステム

殺し屋やってます 著:石持朝海 手段でなくシステム【読書/映画感想】20250526

 

コンサルティング会社経営の側、いやむしろそっちが副業で、殺し屋ビジネスをする男の話、理由は聞かない、情を移さない、実行のためにプロとして調査をする男に舞い込む殺しの依頼。殺害シーンはサラッと描かれるが仕事にあとで気になるその背景を調べる。人は恨みのある場合は殺し屋ではなく自分の手で怨嗟を晴らしたがる、だから足がつく。存在が障害になる場合に殺し屋を雇う。例えば、軒下にスズメバチが巣を作る。取り除くには危険がある、周囲にも迷惑をかける可能性もある、だからプロの駆除行者にビジネスとして依頼する、殺し屋を雇う心理はそんな感じだという。

 

小説って、殺しが題材の話は多い。事件もの、刑事もの、サスペンスには必ず殺しがキッカケになり、クライマックスになり、キーとなる。それがハラハラを起こしやすいからだろうな。平穏な話もあるが盛り上がりにくい。作者のプロットとしては取り上げやすい題材だ。

殺し屋には、一般的に(一般的な殺し屋というのもおかしいが)依頼人と殺し屋がいる。それが必要最低限。うまくいってもいかなくても、依頼人は殺しを依頼したことは犯罪だし、殺し屋は殺しそのものが犯罪だ。殺し屋がその後の身を守るためには、依頼人から報酬をうけとってしまえば依頼人そのものが邪魔な存在。依頼人にとっては殺しを依頼した自分の犯罪を知っているのは殺し屋なので、殺し屋が邪魔な存在。するとそれぞれ自分に対する殺しに怯え続けることになる。サステイナブルでないw 

 

興味深いのは、この小説の殺し屋たちが作り上げた”システム”だ。

 

この作品の殺しシンジケートは、”システム”を作り上げた。前述依頼人と殺し屋の間に、受諾者、伝言者1と伝言者2が介在する。

依頼人は、受諾者に依頼する、受諾者は伝言者1に内容を伝える、伝言者1は伝言者2に依頼を伝える、伝言者2は殺し屋に依頼を伝える。報告は同じルートを逆に戻ってくる。これにより、依頼人と伝言者1は殺し屋を知らず、殺し屋と伝言者2は依頼人を知らず、実行後も自分の身を秘密を知ったことによる危険から守ることができる。

 

殺しの手段ではなくて、継続可能な「システム」が大事なのだということが本質だなというところが興味深い作品なのであった。

 

Diary:実家帰省。母を食事に連れ出すのに最近はファミレス脱して地元の新しいレストランを開拓している。古民家を改装したフレンチを白沢村で予約しランチへ。この価格でこのボリューム都会では考えられないし、地元野菜の新鮮な美味しさはコスパもよい。帰りには、パン屋、ケーキ屋も寄り道して、夜用デザートもなかなかの収穫だ。翌日はうどんと天ぷらを堪能し、満足の帰路。