【ODRピックアップ】20140417 仲を取り持つさじ加減
あるお宅でのいつもの風景。
既に成人した長男は、大分分別も出てきました。自分のことは自分でやろう、家族や周囲へも気を配ろう、ある程度は妥協しよう、しかし自分の夢やこだわりも持っています。
次男は、そうした兄を見て育ちました。兄を尊敬する面もありますが、いい子過ぎるように見える兄に反感もあります。自分の心を素直にぶちまけてしまう次男。体格もよく、思春期になり、時に乱暴な言動も出てしまい、母親に注意されることもしばしば。
難しい年頃の二人がケンカになると、親の介入にも気を遣います。
「お前な、チョーシにのんじゃねーぞ、あ?」
「。。んだよ。アニキぶってんじゃねーよ」
日中の領土問題への対処に苦慮する米政府(ウォールストリートジャーナル)
http://jp.wsj.com/Japan/Politics/node_514624
「訪日後中国を訪れたパネッタ米国防長官は、日中双方に対し冷静になり事態を沈静化させ、問題を平和的に解決するよう呼び掛けた。」
オマエら!またそういう言い争いをする!いい加減にしろ!!
「外交アナリストは、米国は危機への対応について十分注意する必要があるとし、米国が日本に譲歩を強いたり、そのように見えたりすれば、東アジアの主要同盟国である日本を弱体化させ、中国の立場を強化してしまうと警告する。」
素っ気なく「うるさい」と相手の目も見ずに吐き捨てる長男に、「何それ?お前に言われたくねぇよ、ざけんな!」と乱暴な口をきく次男。どっちも悪いのです。親としては教育指導!しかし、同時にはできません。吐き捨てる長男を先に戒めると、次男の乱暴な物言いが正当化されたように思えます。次男の乱暴な口利きを先に注意すると、長男のぞんざいな口調は悪くないのか?という議論になります。
「これに対しある米国防総省当局者は、「こうした紛争を基に東アジア地域諸国間の相対的な国力の増進について何か結論を引き出すようなことはすべきでない」と述べ、日中双方を弱体化しない平和的な解決を見いだすことはできると反論した。」
とはいえ、どうにかしなくてはと口を出そうとしていると、
「パパが口だすとまとまるものもまとまらないから黙ってて!」と、抑制されます。
しかし、「。。。。じゃあ。。」と黙っていると、段々と父親の抑制力が失われて行くようで、実際、「パパは、あまり文句をいわない」風潮が出来上がってしまい、子供たちもこちらの様子を伺う感じが消えて行く。。。権威の失墜でしょうか。調停の難しさでしょうか。
これは2012年の話し。
最近では、米国が音頭をとって、日韓のトップを引き合わせ、こじれた関係を修復する方向に動かす努力をしています。相手の言葉を覚えて会話を仕掛ける兄(安倍首相)に対して、目をそらす妹(朴大統領)。
仲裁役の父(オバマ大統領)の顔をたててまとまるかと思っていましたが、これまでの結果から抑制力が失われてしまっているのです。
どうなることか。。。
ところがしかし。
コミュニケーションツールに設けた家族のスペースでは、捨て台詞の長男も乱暴な言葉の次男も、絵文字やスタンプを駆使して、一晩のウチに仲直りを果たしました。仲裁役もなし。
確かに、面と向かった場合の親の指導には、説教聴きたくないと逃げてしまう二人ですが、メールでの意見には、文字の上では冷静な返信が返ってきます。
メールの世代。
もしかすると、ODRは、こうした世代で花開く技術文化なのかもしれません。
親の威厳(仲裁役)は、ODRで淘汰されていくのでしょうか。
まあそれならそれでいいかと思いつつ、一抹の寂しさを感じながら、コーヒーを入れて飲むのであります。