【ODRピックアップ/半蔵門ビジネストーク】20170201 通訳は大事だよ
海外企業と交渉や共同作業をするようになってから早20数年。ここ数年は国際会議に出たり、契約交渉の現場などにも同席する機会もいただき、なんとか英語なら対応でき”なくはない”ように”なりつつ”あります(言い訳満載)が、やはりいろいろと問題や不安や不満や不手際は残り、メールが一番安心できるかなというのが実感です。
1 アジア諸国など英語ネイティブでない国の人々が集まると
それぞれ英語使いの方々ですが、そもそもみなさんが所謂「第二外国語」であり、微妙なニュアンスがわかっているのかな?また私自身が勘違い、聞き間違いをしていないかな?という恐れがついてまわっています。また、各国の英語訛りも激しいことがあり、そもそも聞き取れないことすらあり、いちいち電子メールで確認することもしばしば。これは相手国にとっても同じことでしょう。
2 じゃあ英語ネイティブとなら問題ないのかというと
彼らは、「誰でも英語話せて当たり前」の感覚ですので、ただでさえTalkativeなのに、こちらが口数少ないとなおさら、「自分が言葉足らずなのか?」と勘違いしているかのように、さらに多くの言葉でまくし立ててくるので、ますます独演会になってさらに質問ができなくなるケースもよくあります。
3 最近怖いのは英語通訳が入る場合で
これは中国・深センでのイベント時にパネラーとなり、聴衆は中国語、私は英語、中英通訳がはいるのですが、前日に別途ついてくれた通訳があまり英語ができなかったこともあり、パネルの時の通訳もなんだか不安。私が話した内容(英語)が、通訳により中国語として聴衆へ、その後、聴衆からの質問が中国語から英語に通訳されるのですが、私へもらった質問が私が話した内容の文脈からすると意味不明で、何度も聞き返すことになり、再度質問され翻訳してもらい、と、質問の理解に時間がかかる始末。すると、疑問になる。そもそもプレゼンした内容は正しく伝わったのか?
4 政治の場面ではもっと怖い
一般のビジネスマンだから、経済的損失を被るとか、個人的な信用毀損くらいですみますが、政治の場での同時通訳などは、ものすごく重要で、その意味では怖い職業だと思います。
(この記事内容は、通訳の人の訳は誤訳ではなく、言葉がたらなかったということで、確かに正確な翻訳ではないでしょうが、センセーショナルなタイトルほど致命的ではないかなと個人的には思います)
ただプーチンさんが言いたかったのは、
「千島は最初から日本のものだったのではなく、所有が決まっていなかったのを、戦争の結果、ロシアの提督が ロシア皇帝の同意を得て、日本に引き渡したのが、1885年」
というところで、最初から日本領であったわけではないということなので、これを伝えないと、”怒り狂うプーチン”という表現だけが一人歩きすることになり、両国にとってもよろしくないかなと思えます。記者さんの質問だから重大事態にならなかったけど。。。
5 裁判の答え方も通訳が文化的違いを理解しないと
海外企業との訴訟で、味方側証人の一人が証言する際に、通訳がはいったことがありました。欧米的な質問は、「結論先に」で、YesかNoかで聞かれることが多いようですが、日本人の答えって、「結論最後」のパターンが多いので、
「あなたはこれこれこういうことを言ったと報告されている。YesかNoか?」
と聞かれたのに対して、
「それはあの時はこういうことで、ああいう理由で、そちらがこう言ったので、そういう事情があるんです。」(言葉でYes/Noをはっきりいわない)
となります。通訳も最初は一生懸命通訳していましたが、疲れたのか、たったひとこと、
「YES!」
と通訳!流石に裁判官は、
「いやいや今もっと喋ったでしょ!!?」
と促しましたが、会話の作法なども重要な要素になります。
流暢な人でも、実はあまり実のあることを言っていない場合もあったりして、大事なことは、文書化して確認することが、やっぱり重要かなと思います。でも、ビジネスにスピード感がないとか言われそう。。。