視点転換が視野を広げる(プランナーズ感想)【読書/映画感想】20180813
あらすじ
結果コミット型のマーケティング会社プランナーズは、前金で50%、結果に満足したら残金50%を払う条件でマーケティング企画を請け負い実行する企画会社だ。マーケティング=顧客満足で、依頼があれば「なんでもやる」。例えば、
- 息子にドタキャンされた老母とのデートの相手の代行では、母の相手に女性が指定され、楽しい旅行の写真を意趣返に息子に送りつけることで、母が面白がり、息子も次の約束を確約してハッピーな結果を導き出し、
- 気難しい蔵元の放蕩息子からの依頼で廃業しようとしている父に事業の継続をするよう説得する依頼では、期間2週間のうち1週間は門前払いだったものの、最後は事業継続と親子の仲直りまでも実現する。
顧客満足とはいったいなにかを考えさせられる。
視点の転換
キャンセルされたデートを楽しむには、目的の場所へ行くだけではダメで、キャンセルした当人を巻き込んで楽しい写真を送りつけ、キャンセルを後悔させ、関係を修復する方向に導く。
蔵元に事業継続の説得をするために、「酒の飲めない者の視点」で、シャンパングラスや果実酒、プレゼントとしての日本酒などを飲まない人向けにアピールする。
こうした視点の転換がこれまでアプローチしていなかったターゲットに到達することで新たなマーケット、可能性が拓けて行く。
視点が視野を決める
視野を広げてものを見るというアドバイスはよく聞くが、実際には視野を広げるのは難しい。目的物がある限り、どうしたってその周囲に関連物があり、関連施策が取られて行く。物理的にも視野角以上を見るのは難しい。
そこで、ここでも視点の転換。視野を広げるのは自分を動かさずに見る範囲を広くするという無理筋で、ある意味では手抜きでもある。そこで、視点を変える=自分の位置を変える ことにより、見ている範囲を変えるのだ。視点を何回も変えることで、視野が広がったと同じ範囲でものごとを見ることになるからだ。
自分が動く。右へ左へ。上から下から。前から後ろから。外から中から。視点を変える、そして、視野が広がる。
トラウマを乗り越える
主人公は、経験から自分の能力を欠点として捉えてきたが、視点を変えて、その能力を当てはめる相手を変えることで、長所に転換できることに気づく。聴こえすぎる聴覚で、人々の秘密を聴いてしまい嫌われてきた過去があったが、顧客のささやき声を聴くというマーケティング能力として、トラウマを克服する道を見出す。
視点を変えるというと堅苦しいがここでも視点を変えて、気分転換をすることに置き換えれば、意外と簡単に「それ」ができることに気がつく。