最恐組織 濱嘉之【読書/映画感想】20190122
濱嘉之 最新刊 最恐組織 文庫
警視庁公安部 青山望シリーズ
ついに完結!これが究極の公安捜査だ。
同期カルテット、最後の決戦。
あらすじ
覚せい剤を食べさせて殺す事件が連続して発生。その背景や手法を探る警視庁同期カルテット。カルテットの2人はすでに組織人生の将来に見切りをつけ最後の事件として動き出す。国を動かし守るべき政治家の腐敗と犯罪組織の不確かな癒着、それらを憂う隠居したヤクザの重鎮、半島、中国、ロシアの思わぬ暗躍と出所した天才犯罪者を追い、最恐組織公安との最終決戦へ向かう。
恒例、現状の世界情勢分析
いつもながら、筆者による現状の世界情勢分析が話の中に盛り込まれている。
- 米朝会談の失敗により、北朝鮮はもう核実験をしなくてよくなった。発射台を破壊しても困らない。完成していることが立証され、技術とノウハウを売ればよくなったからだ。
- 韓国の歩み寄りにより南北紛争は解決するが、米軍の撤退により統合は北主導で行われる。中国とロシアの支援により、韓国は統合され消えて行く。
- 中国、ロシアにとっては、資本主義との緩衝エリアに北朝鮮主導で統合した朝鮮国(仮称)をおく方が都合がよいし、必須のこと。両国からの支援はより強力に行われて行く。
- 沖縄を中心に米軍の力が弱まれば日本も軍を揃えることは必須事項となる。国内の意思統一遅れでそれができなければ中国ロシアには思う壺。
- 中国による日本の不動産買い占めは決して乗っ取りを目的とはしていない。単なるマネーロンダリング。
食文化
相変わらずの食こだわりの描写。警察も官僚も企業人もヤクザも、食文化には手を抜かない。それこそが文化文明。
- 鱧と松茸,海老と鶏肉の出汁
- 牛肉で巻いた松茸
- 高野山の茶室で茶の湯
- 具のないスープで出汁を当てる
- 純米酒と胡麻豆腐の絶妙な組み合わせ
すごい男たちの源は食にありや。
せっせとうまい店を探す意欲が湧いてきた
移民でも外国人労働者でも
どんなに制限しても重要事業にスパイ的人材は入り込む。人件費を下げることだけに着目しないで国防や機密保持、スパイなどを意識して全てを暮らすように意識を変えないといけない。戦闘行為はなくても、平和はないと理解すべきだ。人権を守りすぎてその基盤である国家が損なわれることもある。
航空機の保守点検を外国資本企業に任せるなど正気の沙汰でないし、日本企業でも労働者の国籍や素性はきっちり調べるべき。
森博嗣氏のウォーカロンシリーズに続いて、この青山望シリーズも12巻で終了か。
次の作品がでるのを期待。