オフィスはやがて保管庫的な用途になる【半蔵門ビジネス雑談】20200716
リモートワークは確かに進んでいる。大手企業でも、在宅ワークを標準と定義するところも出てきた。実際私のところもリモートワークをベースにしている。週1の定例連絡会議もずっとSkypeだ。ただし、オフィスは維持している。
新聞やネットニュース、ブログ記事などで、オフォスはいらないという論調もよく目にする。それに同意する意見も少なくない。
「都心に固定のオフィスはなくてもいいんじゃないか」
というつぶやきも聞こえてくる。
でも、経験から言えば、バーチャルなオフィス、オフィスなしで続けていくと、ビジネスがうまく回り出したところで、固定のオフィススペースが必要となってくるはずだ。バーチャルなレンタルオフィスという線もあるが、これも、顧客数が増えてくるにしたがって、周辺環境の費用も考慮すると専用オフィスが必要となってくるのだ。
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当社も設立時は、渋谷にバーチャルオフィスを借りていた。駅直結の便利なビル。住所を登記できるスタイルで、専用の電話もある。かかってきた電話には当社名で応答してくれて、携帯に転送される。郵便物もオフィスにいくと、まとめて渡してもらえる。共用スペースではコーヒーなどが無料で提供され、空いて入れば個室ブースも利用できる仕組みだ。
しかし、ビジネスが軌道に乗り始めると様々な支障が出てきた。
顧客先が増えてくると、1日に2〜3社訪問することも頻繁になる。手ぶらであればいいが、提出する資料や受け取った資料がカバンに収まる。3社訪問するなら朝出かける際に、3社分の資料を持ち、PCやその他の文具等もぎっしり。そして、訪問先で受け取った資料でまた膨れ上がる。それを1日持ち歩き、家に持ち帰る。翌日はまた別の資料を持ち出す。あるいは、借りているバーチャルオフィスで提案書を作るためには、訪問先以外の資料も持ち歩くことになる。
持ち歩く資料は機密資料もある。カフェで置き忘れるリスク、バーチャルオフィスに置き忘れるリスク、共用スペースで覗き見される可能性、そうしたリスクも付いて回る。
バーチャルオフィスでは専用スペースを借りないと、荷物は置いてはおけない。
斯くして、社員が戻ってきて、荷物を保管しておける場所が必ず必要となってくるのだ。
オフィスは縮小すれどなくなりはしない。
。。。まてよ。。
オフィスが必要なのは、言い換えれば物置としてのそれか。だとすれば、持ち歩く資料などがなければいいのか。客先との情報のやり取りの紙資料がなくなればいい。資料はメールで。資料にはパスワードで。PCにもパスワードで。
そこまでいければ戻る場所、荷物を一時保管する場所がなくてもいい。
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ちなみにバーチャルオフィスの笑い話。確かに、取引先や知り合いに会社住所でご案内は出せるのだが、お祝いの蘭の花を送っていただいてしまい、やむなくそれを自宅に転送してもらうというおめでたいオチ。ランの花の大きな梱包の箱は送料7000円であった。