ネットで見て百貨店に買いに来て【半蔵門ビジネス雑談】20200903
一昔前のネットビジネスで、クリックアンドモルタルというのがあった。今もある。
クリックは、オンライン店舗、モルタルは実店舗のことで、両方を組み合わせてシナジー効果で売り上げを獲得するという考えだ。ネットで成功したオンラインショップが、実店舗も持つという流れで一つのパターンとして定着してきた。ネットスーパーなどはこのパターンで、来店もできるし、ネットでも買えるスタイルで効果をあげている。
さて百貨店はネットに負けているというのが明確になっている。米国の大手シアーズも破産に追い込まれたのはショッキングなニュースだった。これは日本でも同じように百貨店は苦境にある。
しかし、大阪阪急梅田本店は、ネットへの取り組みを強化した。その方法は、「ネットで見て、買いに来て」だ。
ネットでは「見せるが売らない」。
百貨店に「買いに来て」なのだ。
アマゾンなどが盛況のなか、百貨店が太刀打ちできないのは、取引慣行のせいだった。
百貨店ならではの「消化仕入れ」という取引慣行のため。店頭で商品が売れて初めて、百貨店がその商品を仕入れたことになる。商品の大半を自らの在庫として持たない百貨店が、ECで商品を売るには取引先との調整が必要だから、扱える品目に限りがあった。(上記記事より引用)
これは取引慣行は、メーカー、百貨店双方にメリットがあったため、なかなか変えられない。
そこで、うめだ本店は、
「ネットで十分調べたとしても最後は実物を見て決めたいという需要」
にターゲットを絞り、ジュエリー、時計の高級品に絞り、ネットでの商品情報を充実させ、最後に決めるときには店舗で実物を見て購入というところに特化するネット活用を展開する。
デジタルに舵を切るといってもどうすればいいか手をこまねいていた大手流通だったが、ネットで見て買いに来てという直球勝負に出た。
功を奏すか。
最初のトライだ。