BADON(3)【読書/映画感想】20201228
オノナツメ氏の作品「ACCA」のスピンアウトの3巻。首都バードンで、ムショあがりのヤッカラ区出身の4人が始めたベンチャー高級タバコ店。老舗のタバコ店タットラーからも意識されるようになり、ヤッカラ区での麻薬入りタバコとの関係を疑われるが、友人の税理士や幼馴染の新聞記者などが現れ、無事に年の瀬を迎える。
現実は厳しい。能力にあふれ才覚もあるが家族のためにときに泣き寝入りのようにやむなく同じ組織にうもれつつ勤め上げるものたちもいれば、 第二の人生的に一旗揚げようと組織を離れもがく中年たちがいる。自分の実力を信じて綿密なマーケティングをしたものの、そううまくいかない場合もある。大きな成功を納めなくてもいいと思っても、周囲はそれ以上の期待をしていて結果的に肩身の狭い思いをしている場合もあろう。残りの時間も少なくなっていることにある日気がついてしまい慌てて見ても時間は増えず状況も変わらず諦めを表面にも出せないでポーカーフェイスで仕事を続けるている人たちもたくさんいるのだ。
作中では、主人公たちは様々な事件を乗り越える。そして年の瀬。慌てる必要はないよ。私たちにとってのバードン=ふるさとは、今この場所は、そう簡単にはなくならない。なんだかんだとノイズが聞こえてきても、仕事の場所があり、誰かに少しでも頼られて当てにしてもらえるのであれば、そこにいる意味があるんだと思えるはず。
何よりここにいていいんだと決めるのは自分でいいのだ。
自分で決めていけばいいのさ。
今年もよい歳だったよね。