BADON(4)【読書/映画感想】20210716
オノナツメ氏の作品「ACCA」のスピンアウトの4巻。首都バードンで、ムショあがりのヤッカラ区出身の4人が始めたベンチャー高級タバコ店。バードンにもヤッカラ区出身者が多く住むエリアがある。やはりそこは犯罪が多発し幼女の誘拐なども頻発。タバコ店で家政婦として働くリリィは体験学校に行くがそこで知り合ったお金持ちのお嬢様と一緒に誘拐されてしまう。
「社会を良くしたい」という志は、誰もが持っているのだろう。
社会というメカニズムがどうなっているか。それを学問的に学び、その角度から現実社会を見直して、変えていこうというアプローチがある。一方で、貧しい街で食事にもありつけない人々へのボランティアの炊き出しで食事を振る舞う手伝いをしてそうした社会を支えていこうというやり方もある。前者は、政治家への批判が中心になりがちだ。国連で演説した若い何とかさんは、実際にはエネルギーを浪費していたのではなかろうか。ボランティアに頑張る誰それは、政治力をうまく使えずいつまでの社会を変えるに至らない。
大学で体験授業を受けたマイカは、誘拐され売り飛ばされそうになる間に、貧しい底辺層からの優しい扱いで実際のボランティアも体験しようと考えを変えた。厳しい生き方をしてきたリリィは学問をやってみようと思い始めた。この二人が社会を実際に変えていくようになっていくのかもしれない。そうに違いない。そう思いたい。
二人が暮らすどちらの社会でも大人たちは自分の生き様をベースに二人を見守り助け指導し導くことが大人たちの役割だ。それがどんな社会であっても。