【ODRピックアップ】20140101 重複する試行錯誤の時間を減らして、新しいコミュニケーションに時間を裂こう。
GoogleのCM。
http://www.youtube.com/watch?v=JslkN8IulNA
日当りのよいリビングらしき場所で、お父さんと息子が仲良く寝転んでタブレットを見ていると、スケジュールのアラームが、”むすこと勉強”の時間を表示します。二人が解くのは、1、1、5、8を四則演算で10を作るというもの。なかなか難しくて、お父さんは息子が筆記用具をとりに行っている間にgoogle検索をして答えを導きだし、子供が、お父さんは凄いと、二人で喜びます。。。微笑ましい?。。。。いや。なんだか笑えないのです。
ウチの家族たちもすぐ検索します。ノウハウ系のこと、誰かに関する情報、過去の情報。私も、ついつい、検索してしまいます。確かに便利です。時間の節約にもなります。既に誰かが知っている事は時間を裂いて1からやるよりも検索で見つけて次へ進んだ方がいいこともあります。
考えても知らない事は知らないまま。さっさと検索して次へ進めばいいとも思います。CMでは結果的に家族の絆も深まっているようにも見えます。もしもお父さんが問題が解けなくて、時間が過ぎて行ったとしたら?時間が経過し、険悪なムードになるかもしれません。家族3人で笑顔になる時間が減るかもしれません。。。
いや。言いたいのはそこじゃないんです。
”インターネットが、ネット検索がなかった時代へ戻ろう”という気はありません。なかったなら、それこそ紙と鉛筆で、お母さんも加わって、勉強を媒介に家族がもっと緊密に接していたでしょう。友達と一緒に勉強することになったかもしれません。友達に電話で相談したかもしれません。その結果、友達との生のコミュニケーションが増えたかもしれません。
大事なのは、コミュニケーションですって?
今だってLINEやらメッセンジャーがあるじゃないですか?大事なのは、生身のコミュニケーション?実際こどもたちはネット経由のコミュニケーションの上で生きています。TVや電話が最初からあった世代は、それを前提にコミュニケーションを作って来たじゃないかって?それも一理。でも、”生身”が全てじゃない。生身じゃなくたって心はつながれます。
試行錯誤が減ったって?試行錯誤にこそ意味があるんだと?。
でも、全人類がいつまでも同じ試行錯誤をしていたら進歩もないですよね。「1158で10」の試行錯誤自体には、それだけの意味しかないのです。
結局。
要するに手段はなんだっていいんです。
親子が素晴らしいんです。
家族が、友達が素晴らしいんです。
コミュニケーションが素晴らしいんです。
そしてもちろん試行錯誤も素晴らしい。
ネットでなくてもいいんです。
でもネットでもいい。
知識は口伝され文字が発明され、石に刻まれ、紙が発明され書物として最初は仲間、家族、親子。やがて、師匠と弟子、教師から生徒へ。語り継がれ、引き継がれてきました。学びの場が発明され、かつてはそれがソーシャルネットワーキングの役割を果たして来ました。調べるためには、書物をめくり、誰かに会って尋ねる。手段は変化し進化し続けます。
今やインターネットには、膨大なデータが蓄積され続けます。尋ねれば答える巨大なSNS。誰かが誰かに聞いて、その答えを得る、その記録までもデータとして蓄積される。そのデータを誰かが検索して知る。それをまた記録する。知識が時間と場所の制限を超えて引き継がれていきます。記憶するための時間を節約し、新しい試行錯誤に向かおう。まだ誰も試していないことにこそ価値があります。
同じ試行錯誤の時間を減らして、新しいコミュニケーションに時間を裂こう。
2014年1月1日
元旦