半蔵門御散歩雑談/ODR Pickups

株式会社ODR Room Network

このブログは、株式会社ODR Room Networkのお客様へのWeekly reportに掲載されている内容をアーカイブしたものです。但し、一部の記事を除きます。ODRについての状況、国際会議の参加報告、ビジネスよもやま話、台湾たまにロードレーサーの話題など、半蔵門やたまプラーザ付近を歩きながら雑談するように。

ODRのゲスト授業@慶應法科大学院

ODRのゲスト授業@慶應法科大学院【たまプラビジネス余談放談】20211125

 

今年で14回目となる慶應LSのODRについてのゲスト授業。民事訴訟法の三木教授の授業だ。昨年に続いて、ODRベンチャーのミドルマン株式会社の三澤社長が開発中のODRシステムをデモしてくれる。ミドルマン株式会社は、今年ODR専業として法務省のかいけつサポートの初認証を受け、日本初の「ODRのみの認証ADR事業者」として実務的なサービスを展開している。海外事例ばかりだったODRで、日本発のODRが活発に動いているのは嬉しい。ODRが日本でも普及する兆しといえるだろうが、まだまだ利用が本格的にはなっていないし、競合も少ないのは大きな課題である。

 

授業は世情を反映してオンライン。今年は人数も多いようで、実際の教室での実施も難しくなってきたらしい。教授も歓迎しているので今後もこの形式が継続の見込み。

 

内容は、ODRの歴史、ODRの実用化海外例、ODRに関する国連の動向は例年通り。過去のことなのでまあここは変化しにくい。2019年からの大きな動きとして、日本でも公的機関が具体的な動きを始めたことに続き、パンデミックによる制限でオンライン化が一気に進んだこと。一種の外圧。外圧により進むのはとても日本的。今回は日本だけではないけれど。

 

国内の動向として2019年は、

日本経済再生本部が、裁判手続き等のIT化検討会(いわゆる司法のIT化)を推進。
消費者庁では、第4期消費者基本計画のあり方で、ODRの普及を提言。
日本ADR協会では、定例シンポジウムで、「ADRはどう変わるか〜IT化の可能性と課題〜」を取り上げた。
6月21日に閣議決定された「成長戦略フォローアップ」でも、ODRを含んだ検討を行い基本方針を2019年度中にまとめるとされた。
   ==>9月27日 ODR活性化検討会開始  

続く2020年は、パンデミックの真っ只中。

ODRに関する動きが活性化し、ベンチャーも複数登場しているので、一気に実用化への助走が進む兆しだ。

日本ODR協会、日本ODR事業者協会が設立され、法務省の検討会は、ODR推進検討会に進化した。

 

そして2021年、

成長戦略フォローアップに、ODRを身近なものにするための基本方針を2021年度中に策定すると発表され、

(1)下請け駆け込み寺でのオンライン相談

(2)離婚後の養育費、冥界交流の取り決め、履行確保の場面における非対面・遠隔での相談・ODRサービスについて

にて、自治体と連携した実証的調査研究(モデル事業)を実施

 

コロナ禍が進めた感もある日本のODRだが、じっくり待っていたからこその実用面での適用が早いことが期待できる。

 

過去の慶応での授業に関する記事はこちら。

www.odr-room.net